「あかんと分かっているのに、夜のスマホをやめられない」
これは、お客様の話だけではありません。私自身にも当てはまります。
何か見たいものがあるわけではないのに、無意識にスマホを手に取る。InstagramやThreadsを開き、ショート動画を見て、また別の投稿へ移る。気づけば時間が経ち、目が疲れたり、スマホを持ったまま寝落ちしそうになったりして、ようやく画面を閉じます。
身体は疲れているのに、頭は興奮したまま。眠ったあともぐっすり眠れた感じがせず、翌朝に睡眠不足を感じることがあります。
「早く寝よう」と思っているのに、なぜ同じことを繰り返してしまうのでしょうか。見たいわけではないのに、なぜやめられないのでしょうか。
夜のスマホをやめられないのは、意志が弱いから?
夜更かしした翌朝は、「また遅くまで見てしまった」「今日こそ早く寝よう」と思います。それでも夜になると、また無意識にスマホを触ってしまう。
これは、単に意志が弱いからとは限りません。一日の終わりは、仕事や家事、人とのやり取りで、すでにたくさんの判断をしています。疲れた頭にとっては、行動を切り替えることより、いつもの習慣を続けるほうが楽です。
スマホを手に取ることが習慣になっていると、「見る」と決める前に指が動きます。SNSやショート動画には、テレビ番組のような明確な終わりがありません。次の投稿が次々に表示されるため、見たいものを探しているというより、終わるきっかけを失っていることもあります。
「就寝時刻の先延ばし」という状態
眠ることを妨げる特別な用事がないのに、予定していた時刻より寝るのを遅らせてしまう状態は、「就寝時刻の先延ばし」と呼ばれています。
夜のスマホ使用や、スマホを手放しにくい状態と、就寝時刻の先延ばしや睡眠の状態との関連を調べた研究もあります。ただし、スマホを見た人が全員眠れなくなるわけではありません。使う時間や内容、その日の状態などによって影響は変わります。
だからこそ、「スマホは悪い」「私は意志が弱い」と決めつけるのではなく、自分がどんな流れで見続けているのかを知ることが最初の一歩です。
スマホを置いても、頭がすぐに休まるとは限らない
身体は眠いはずなのに、SNSや動画から短い間隔で次々に情報を受け取る。画面を閉じる直前まで頭を使っていると、スマホを置いたあとも考えが続き、頭が冴えているように感じることがあります。
身体は疲れているのに、頭だけが眠る準備に入っていないような状態です。
また、スマホを見ていた時間の分だけ就寝が遅くなり、朝起きる時間が変わらなければ、睡眠時間そのものも短くなります。画面の光だけでなく、就寝時刻の遅れ、情報の刺激、区切りのなさが重なっていると考えたほうが分かりやすいかもしれません。
いきなり「スマホをやめる」を目標にしない
私も最初は、「寝る前の10分だけでもスマホをやめよう」と考えました。でも、正直に言えば、今のままでは続けられない気がしました。
無意識にしていることを、意志の力だけで急にやめようとすると、できなかった日にまた自分を責めてしまいます。
そこで今回は、いきなりやめるのではなく、まず一度だけ気づく時間をつくることにしました。
今夜、1回だけ試すこと
スマホを見続けやすい時間にアラームを設定して、鳴ったら次の3つを試してみる方法があります。
- スマホを一度伏せる
- ゆっくり3回呼吸する
- 「今、本当に見たい?」と自分に確認する
ここまでできれば成功です。そのあと、またスマホを見ても失敗にはしません。無意識の流れから一度だけ離れて、自分で選べる瞬間をつくることが目的だからです。
時間は0時でなくて大丈夫です。自分がスマホを見続けやすい時間に設定し、一度だけ立ち止まれたら十分です。
アラームが鳴ったら、スマホを伏せて、3回呼吸して、「今、本当に見たい?」と確認する。できない日があっても、自分を責める必要はありません。
眠る時間と、回復できたかは同じではありません
朝から身体が重い状態には、身体の緊張や呼吸、食事、ストレス、生活時間など、いくつかのことが重なっている場合があります。睡眠時間だけで説明しようとせず、朝の身体の様子にも目を向けてみてください。
自分に合う小さな一歩を探す
生活習慣を変えることは、簡単ではありません。身体に良いことを、いきなり全部しなくても大丈夫です。
今の状態を知る。自分が「これならできそう」と思えることを一つ試す。合わなければ、別の方法を考える。その積み重ねが、少しずつ身体を変えていきます。
MEGURIでは、睡眠時間だけでなく、呼吸や身体の緊張、食事、ストレス、毎日の過ごし方を一緒に振り返ります。そのうえで、今の身体に必要なことと、本人が「これならできそう」と思える小さな一歩を探していきます。
強い眠気や不眠が長く続く場合、日常生活へ大きく影響している場合、大きないびきや睡眠中に呼吸が止まると指摘された場合などは、医療機関へ相談してください。
寝ても疲れが取れない、朝から身体が重い。そんな状態が続いていても、何から見直せばいいのか分からないことがあります。
MEGURIの「身体を知る90分」では、今の身体の状態を確認しながら、睡眠だけでなく、姿勢・呼吸・食事・生活習慣なども含めて、不調につながっている可能性を一緒に整理します。
夜の過ごし方を見直したいと思っても、仕事を終えたころには何も頑張れない日があります。食事のことまで考える元気がないとき、どうしたらいいのでしょう。次の記事では、そんな日から始められる食事の整え方をお話しします。